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葉刈り

葉刈り

植物にとって葉は、生命維持に欠かせない機能をもつ器官の1つです。

盆栽では、その葉を切り取ることを葉刈りといって、小枝を多く出させたり、樹を小さく維持するなどの効果があります。

自然界の植物たちは、強風による枝折れや、虫や動物による食害などで葉をなくした時でも、一定量の葉数を維持するために葉の基部に次の葉となる腋芽(わきめ)を持っています。

この腋芽は葉を失った刺激で動き出し、枝葉となり、これを毎年繰り返すことで、次第に各枝が充実したものになっていきます。

この植物生理を利用した他の方法には芽摘みや剪定がありますが、生育期に行う葉刈りは植物にとってかなり大きな負担となります。

芽摘みや灌水、施肥、置き場所など日頃の管理によって葉を小さくすることは可能なので、葉刈りをしないでいいのならばそれに超したことはありません。

ただ、葉刈りの原理を知り、正しい方法を理解しておけば葉刈りのもたらす効果は大きいと思います。

葉刈りができる植物

葉刈りは植物にとって大きな負担になる作業なので、葉刈りができる植物は、樹勢があり萌芽力の旺盛ないくつかの樹種に限られます。

その多くは欅や楓などの葉物類に分類される一部の落葉樹で、黒松や五葉松、梔や縮緬葛などの剛健な常緑樹も葉刈りができます。

葉刈りできるもの

落葉樹の葉刈り

欅(ケヤキ)、楡欅(ニレケヤキ)、楓(カエデ)、紅葉(モミジ)、ソロ・シデ類、花梨(カリン)、蔦(ツタ)など

常緑樹の葉刈り

黒松(クロマツ)、錦松(ニシキマツ)、五葉松(ゴヨウマツ)などの松柏類や、梔(クチナシ)、縮緬葛(チリメンカズラ)など

葉刈りの目的と効果

1、樹勢を調整する

植物にとって葉は、生命維持に欠かせない器官の1つで、葉の充実はそのまま樹勢の良さにも繋がります。

葉刈りをすると枝の力は弱くなるので、これを繰り返すことで次に伸びる葉をより小さく、枝をより細かく作ることができます。

また、強い枝の葉を取ることで弱い枝を充実させ、全体の樹勢を平均化させる効果もあります。

2、小枝の発生を促す

葉刈りは芽摘みと同じ原理で、腋芽を刺激し、新しい小枝の発生を促します。

樹を覆う葉をなくすと内部にまで光が入るようになるので、フトコロ芽が活性化し、より小さく作ることも可能です。

3、樹姿をコンパクトにする

盆栽は樹高に合わせて葉は小さく、枝の節はより短く作らなければ全体の調和がとれません。

葉が大きくなるのは水の与え過ぎや多肥、鉢が大きすぎる、用土の粒径が大きい、日陰に置いているなどいろいろな原因があります。

これらを改善することである程度葉は小さくなっていきますが、葉刈りはより大きな効果が早く現れます。

葉数を減らすことで樹勢が抑えられるので、結果的に葉を小さくしたり、節の短い枝を出させることができるようになります。

枝も太りにくくなるので全体を小さく維持するためには欠かせない作業です。

4、古さを出す

落葉樹の葉は、春に新芽が開いたら特別なことがない限り、秋に自然落葉するまでそのまま付いています。

普通、1年間で遂げる成長はこの1サイクルで、今年作られた腋芽は翌年動き出すことになります。

ですが災害や大気汚染、虫や動物の食害などで葉をたくさん失うと、植物は生きていくために腋芽を動かして新しい葉を開き、葉数を維持しようとします。

葉刈りによって葉を強制的に取り去り再び新しい葉を作らせることは、1年間で2年分の成長を遂げさせることになり、古木の感じも早い段階で出すことができると考えられています。

5、紅葉を綺麗にする

カエデやモミジなど秋の紅葉も見所の樹種は、いかに美しく紅葉させるかも大事です。

落葉樹の葉は薄くて組織が柔らかいので乾燥しやすく、光線にあたるとすぐに葉焼けして見た目も汚くなっていきます。

また、組織が硬くなってしまうと温度変化にも鈍感になるので紅葉しにくくなります。

紅葉を楽しむためには、秋までに葉を充分に育て、かつ組織が柔らかい状態に保っておく必要があります。

葉刈りは葉を小さくしたり小枝を増やすだけでなく、葉の組織を若返らせ、鮮やかに紅葉させる目的もあります。

葉刈りの時期

葉を切り取られたものが次の芽を伸ばして葉を開くまでの期間を逆算すると、新芽が伸びて葉が固まった5月末~6月末頃までの梅雨時期が葉刈りの適期です。

梅雨の時期は気温と湿度が高く、植物にとって成長盛んな時期です。

葉刈りは植物にとって負担が大きく、回復には大変な体力を使いますので、この時期を利用するのが適当なのです。

葉刈りの種類と方法

葉刈りには葉を全部取ってしまう全葉刈りと、対の葉の片方だけを切り取る片葉刈り(葉すかし)、大きな葉だけを切り取る部分葉刈りの他、葉の一部を切り取る葉切りがあります。

人為的に残す葉の量を調節することで葉を小さくしたり、樹勢を整えて各枝の生育を良くしたり、フトコロ芽の活性化を図ることなどを目的としたものが葉刈りや葉切りです。

若木は回復力も早いので、全部の枝の葉刈りを行っても構いません。

古い樹は樹勢が落ち着いているので、全葉刈りのような負担の大きな作業はできません。

樹の状態をよく観察して、どのくらいの葉を残すべきかを考えて行ってください。

全葉刈り

葉が大きくなって盆栽との調和がとれなくなってしまった時に、全部の葉を切り取ることによって葉柄の基部にある腋芽の活動を刺激して小葉をださせる方法です。

全葉刈り後は2~3芽残して枝を切り詰め、残した芽から小枝を出させます。

全葉刈りが出来るものは、肥培管理のしっかり出来ているケヤキやカエデ、ニレ、ソロ、シデ類などの雑木類です。

カエデやシデなど葉に柄のあるものは柄の部分で切りますが、ケヤキのように柄の短いものは無理をせずに葉の付け根部分まで切り取ってください。

全葉刈り(欅)

絵:全葉刈り(ケヤキ)

普通、腋芽の伸びる力は弱いので、葉刈りを繰り返すうちに段々と葉も小さくなりますが、そのままにしていると間延びし、葉も再び大きくなってしまいます。

そうならないために、全葉刈り後に伸びる腋芽は、葉が4~5枚に達したら芽摘みや葉刈りで先を止め、側芽やフトコロ芽を出させるようにしてください。

全葉刈りは大手術です。

植物にとっては異常事態ですから、事前の肥培管理は欠かせません。

モミジはカエデよりも弱い性質があるので、全葉刈りはお勧めできません。

片葉刈り(葉すかし)

片葉刈りはよく「葉すかし」とも言われ、枝先の葉1枚を残して他の葉を切り取ることをいいます。

葉すかしをすると、切った葉の元部分から次の芽が伸びてきます。

葉すかし(楓)

絵:葉すかし(カエデ)

葉すかしは基本的に全ての枝に対して行う作業で、葉量の多いカエデやモミジなどの樹種が対象です。

葉すかしをすることで葉量が半分になるので枝が太くなるのを防ぎ、また樹の内部まで光や新鮮な空気が通ってフトコロ芽が活性化します。

時期は新葉の組織が固まった頃の4月中旬~6頃の間が適期で、全葉刈りよりも負担が小さいのでこの間に数回の葉すかしができます。

樹のサイズにより異なりますが、大きな盆栽では葉すかしをしても日照や風通しが悪いままなことがあるので、葉切りと合わせて残す葉量を調節してください。

部分葉刈り

盆栽を全体的に観察していると、弱い枝の葉は小さく、強い枝についている葉は大きくなっていることに気が付きます。

これは盆栽としての調和を乱しますし、鑑賞上見苦しいものですから大きな葉だけを切って葉の大きさを揃えてください。

部分葉刈り(蔦)

絵:部分葉刈り(ツタ)

大きな葉を取ると全体の葉の面積が減るので、植物は腋芽を伸ばして新しい葉を出そうとします。

腋芽は伸びる力が抑えられているので、出る葉は小さくなります。

ツタなどの蔓性の植物は、部分葉刈りをすることで蔓が伸び(シュート)、流れや景色が出てきます。

この、大きな葉だけを切り取ることを全葉刈りに対して部分葉刈りといって、残った葉柄の基部に待機している腋芽から小さい葉を作ることができます。

部分葉刈りは草物でもよくやる方法で、ユキノシタやシダ、笹などで特に大きくなった部分の葉を地際で切り取ることで全体の葉の大きさを揃え、次に出る葉も大きくなりません。

葉切り

葉の一部分を鋏で切り取ることを葉切りといい、樹勢の弱いモミジの手入れ法の1つとして行われています。

葉刈りは効果が大きい分、樹にも負担をかけますが、比較的デメリットが少なく高い効果が期待できます。

やり方は出来るだけ葉脈を寸断しないように縦に半切りにしたり、3/4残したりと、葉量や樹勢によって自由に調節できます。

時期は5月頃で、葉すかし後まだ葉量が多い時に、葉切りで調整します。

ただし全ての葉に行うのではなく、頂部や外側の大きめの葉に対して行ってください。

全体の葉の大きさを同じにすることがポイントです。

葉切りすることで樹の内部まで光や新鮮な風が入り、フトコロの小枝の活性化や胴吹き芽を呼ぶことができます。

葉刈り前後の管理

葉刈り前の管理

大手術前には体力を付けておくこと!

全面葉刈りの時は特に、葉刈りする前に植物が充分に力のある状態でないといけません。

見た目から弱っているものや、鉢土がいつも湿っているものは根が弱っていますので葉刈りしてはいけません。

そんな盆栽をお持ちでしたら、その年の葉刈りは断念してまずは樹勢を戻してやることを第一にしてください。

樹勢がよければ葉刈り後の回復力も強いので、次の芽が早く活動します。

葉刈りをする前に薄い液体肥料(水肥)を与えるのもよく、葉刈りの1ヶ月くらい前から追肥してあげてください。

また、日陰に置いていると葉刈り後の芽の活動が悪くなってしまうので、事前に充分に日に当てて光合成させることも大事です。

灌水も葉やけを起こさないように充分に与え、葉刈りに備えてください。

葉刈り後の管理

剪定や針金掛けをする

葉刈り後は全体の姿がよく見えるので、不要枝の整理や切り戻し剪定の適期です。

針金掛けもしやすいので、剪定と合わせて整姿してください。

灌水は控えめに

葉刈りした後の樹は、葉の面積がないので水分の消費量や光合成が極端に少なくなります。

この状態で灌水を今まで通り行っていては、過湿状態に陥って酸素不足を引き起こし、根腐れを起こしてしまいます。

灌水は控えめがよく、用土が乾いたのをしっかり確認してから水をあげてください。

日差しから守る

葉刈り後は、強い陽に当てずに、ヨシズや寒冷紗、遮光ネットなどで保護してください。

新しい葉が開き始めたら徐々に陽に慣し、通常管理に切り替えます。

芽摘みや葉刈りをする

樹勢の強いものは、葉刈り後も強く伸び、反って葉が大きくなることがあります。

その場合は芽摘みや部分葉刈りをして伸びを止め、側芽の発芽を刺激してください。

霧水をかける

芽吹きをよくするためには、霧水を枝に吹きかけるとよいといわれています。

特に葉刈り後は幹枝に霧水を1日2~3回与え、芽立ちを助けてあげましょう。

コメント

楓と桜の樹の下で さん 2016年06月27日17時56分
キミさん、初めまして!
ミニ盆栽初心者です。ミニの桜とモミジを買って(盆栽妙です)、調子のってコウチワカエデの苗を買いました。が、葉が来たなかったので葉の全刈りをやってみたのですが、どこから生えてくるんでしょう^_^;?

いきなりで不躾な質問で申し訳ないですが、もしよろしければ教えて頂きたいとコメントさせて頂きました。

宜しくお願い致します。
きみ さん 2016年06月27日20時11分
楓と桜の樹の下でさん
こんばんは!
コウチワカエデいいですね~!わたしもほしいです!種しか持ってません
心配しなくても元気ならそのうち出てきますよ、出てくるところは切った葉の柄の基部から...かな
葉水をすると早く出てくる気がします。
楓と桜の樹の下で さん 2016年07月02日13時10分
キミさん、こんにちは!
返信に気付かず遅くなりました。申し訳ありません!

ありがとうございます!
枝が落ちて下からなんとなく葉が出て来ました。
成る程…って感じです^ ^。

しばらく様子を見てみます!
ご助言ありがとうございましたm(__)m。

またわからない事があればお聞きしたいので、
その時は宜しくお願い致します!
京都手習い さん 2016年12月31日00時31分
はじめまして、京都手習い51歳男初心者です。家に今年の夏山採りした樹高30㎝程の紅葉があるのですが、この紅葉、採取してまもなく葉が枯れ落ちたのですが、まもなく葉が再生しました。が、12月末現在その葉は落ちていません。苅ってしまって大丈夫でしょうか?
きみ さん 2017年01月01日14時20分
京都手習いさん
コメントありがとうございます&明けましておめでとうございます。
いいか悪いか、ハッキリいえないですけどサイズもあるので葉刈りしても枯れることはないと思います。
山取りした時に根を切ったから落葉したのでしょうが、そのあと葉が出たということなので大丈夫でしょうね
環境が変わってしまってるので、弱っている感じならそのままの方がいいかもしれません。
葉刈りした場合芽出しが遅れるかもしれないですが、ちゃんと芽吹くと思います。
でも剪定は強くしないでください~。
朝田浩です さん 2017年04月10日00時35分
こんばんは。今年、やまもみじを(5年くらいの実生)を春に植え替えしまして、今勢い良く枝葉が伸びてきています。葉がとても大きいので、掲載されている記事を参考に葉刈しようとおもいます。丁寧な解説、助かります。ありがとうございます。
種を播いて育てると、葉の大小、繊細さに違いがありとても面白いですね。
きみ さん 2017年04月10日08時27分
朝田さん
5年生ならこれからも楽しみですね~
もうちょっと持ち込めばさらに幹味出てきて...いいですね。
山もみじ私も沢山もってますけど、新芽の展開する今の時期見取れてしまいます...

東京都世田谷区在住の盆栽趣味者。
自宅ルーフバルコニーで小さい盆栽や草を弄っています。
初代愛猫『アロ』は天国へ行ってしまいましたが、現在は2代目ネコ2匹を迎えて盆栽ライフを楽しんでいます。

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